インディーパブリッシャーのAnnapurna Interactiveが、パズルゲーム『Storyteller』を2023年3月24日よりNintendo SwitchとPC向けに配信する。日本語にも対応する。

 Daniel Benmergui氏によるこの作品は、物語の流れを簡単に絵で説明する“ストーリーボード”の仕組みを利用した物語パズルゲーム。ステージごとに用意された話のお題に沿って、3~8マスのコマに登場人物と場面カードを配置し、お題の物語を作り出すのだ。

 たとえば「癒される心の傷」というお題なら、3コマに「結婚」と「死」(墓)の場面と4人の登場人物たち(エドガー・レノーラ・バーナード・イゾベル)を配置して解く形。さぁ、あなたならどう解くだろう?

 まずは“心の傷”を表現するにはどうすればいいか? 「死」が役立ちそうだが、いきなり「死」の場面を持ってきて適当にキャラを置いても、それまでの関係性がないのでキャラはうまく反応してくれない。

Storyteller
恋愛関係などがないと、お墓を見ても悲しんでくれない。

 となると1コマ目はまず「結婚」だ。このケースでは結婚させる人物の組み合わせは誰でもいいのだが、仮にエドガーとレノーラとしよう。次は2コマ目で「死」の場面を使ってエドガーを墓側に置き、その前に立ち尽くす側をレノーラにして未亡人になってもらう。

 あとは3コマ目でふたたび「結婚」を置き、レノーラとバーナード(同性のイゾベルでもいい)を置く。再婚おめでとう、レノーラ。「心の傷」が無事癒やされて正解だ。これが基本的な形だ。

Storyteller
もちろん、亡くなるのをレノーラにしてもいい。(というか最初に結婚するのがバーナードとかでもいい)

 ここまではそう難しくないが、このパズルはたまに“別解”編があるのがキモだ。「癒される心の傷」の別解で指定される追加条件は「誰も死なない」。「死」を使わずに「結婚」場面だけでどうやって心の傷を表現し、癒やせばいいか?

 実は「結婚」シーンでは、相手にすでに結婚相手や好みのキャラがいるとフラれてしまう。つまり、これもまた「心の傷」になるのだ! ……とまぁこのように、試行錯誤していく中でキャラや場面のちょっとした隠れた特性を発見できた時、このパズルは特に楽しくなる。

 創世記のアダムとイヴ、シェイクスピアの悲劇、カエルの王子様などの童話、ブラム・ストーカーのドラキュラに、ホームズあたりの探偵モノなど、各問題にはわかりやすいモチーフがあるので、それらを手掛かりにしつつ正解の物語を作り上げられると気持ちがいい。

Storyteller
探偵モノ。うーん、執事が銃をつかむのを見た夫人からの告発を受けただけでは足りないか。

 しかしその反面、いくつも面をプレイしていくうちに、答えに至るアプローチでヒネりや意外性を感じられなかったり、逆にほとんど当てずっぽうで正解になってしまって「あぁ、そういう解釈なの?」とあまり腑に落ちない感じになってしまうと、その楽しさの魔法が少々損なわれてしまうのも事実だ。

 しかも要素が限られているパズルなので、総当たり的に解こうと思ったら本当に時間さえかければ解けてしまう。なので少し詰まった時は他の問題に取り掛かってみるとか、あまり難しく考えずに一旦お茶でも飲んでからリラックスして取り掛かるぐらいがちょうどいいと思う。

 全体のボリュームは13章×4問プラス別解(一部の話のみ。あまり量産できないのはわかるが、もうちょっと欲しかった!)。速い人は2時間以下、通常は3時間程度でクリアーできるだろう。