スウェーデンのゲーム開発会社10 Chambersは、PC用協力型シューティング『DEN OF WOLVES』を発表した。

 同作の発表に先駆けて、スタッフが来日。日本のメディアを対象としたプレスツアーが実施。取材陣に対して『DEN OF WOLVES』の詳細がプレゼンされた。ここではその模様をお伝えしていく。

また、本イベントでは同社の協力型ホラーシューティング『GTFO』の最終章を体験できるプレビューコーナーも設けられた。『GTFO』の最終章に関するプレイインプレッションは下記の記事にて紹介しているので、本記事と併せてこちらもチェックだ。

近未来を舞台にした新たな強盗FPS

 今回発表された『DEN OF WOLVES』は2097年の近未来を舞台にした最大4人で遊べる協力型シューティング。『PAYDAY: The Heist』や『PAYDAY 2』のオリジナルクリエイターたちが多く関わっており、同作同様、強盗を題材にしてはいるが、雰囲気やゲーム性は大きく異なる。プリプロダクションに2年を費やして作られた、独自でユニークな世界観も大きな見どころだ。

『PAYDAY』シリーズのスタッフが手掛ける最新作『DEN OF WOLVES』はSF×強盗もの! プレスツアーで判明した概要をリポート

 物語の舞台となるのは、北太平洋の自然保護区“ミッドウェイ”。ここでは製薬会社など、多数の企業が進出し区画開発が進められており、ひとつの大都市が形成されている。

 開発が進んで摩天楼のような高層ビルを建てた企業もあれば、資金不足で建設が止まって建材が剥き出しのままの企業もある。また高層ビルの上層には富裕層、下層には貧民層が暮らしているなど、資本主義を象徴するかのような景色も広がっている。

『PAYDAY』シリーズのスタッフが手掛ける最新作『DEN OF WOLVES』はSF×強盗もの! プレスツアーで判明した概要をリポート

現実味を感じられる近未来の姿

 本作ではAI技術が大きく発展してはいるものの、“空を飛ぶクルマ”や“ワープ装置”といったファンタジー色の強い未来要素は登場しない。SF要素は『攻殻機動隊』などの影響を強く受けており、プレイヤーが想起しやすい近未来の世界が広がっている。

『PAYDAY』シリーズのスタッフが手掛ける最新作『DEN OF WOLVES』はSF×強盗もの! プレスツアーで判明した概要をリポート

 本作ではミッドウェイでしのぎを削る各企業の存在にも力を入れている。企業ごとに歴史、社訓、社長の人間性などを細かく設定。さらにはロゴや取り扱っている商品もひとつひとつ細かく練られていて、気合いの入れ具合がとにかくすごい。企業名、ロゴ、商品に関しては現実に存在しないか、念入りに確認して製作するなど、開発陣のこだわりと本気がうかがえる。

『PAYDAY』シリーズのスタッフが手掛ける最新作『DEN OF WOLVES』はSF×強盗もの! プレスツアーで判明した概要をリポート
『PAYDAY』シリーズのスタッフが手掛ける最新作『DEN OF WOLVES』はSF×強盗もの! プレスツアーで判明した概要をリポート
『PAYDAY』シリーズのスタッフが手掛ける最新作『DEN OF WOLVES』はSF×強盗もの! プレスツアーで判明した概要をリポート
武器の製造を行っている日本企業“黒吹き矢”。このようにミッドウェイには日本企業もいくつか参入しているようだ。
『PAYDAY』シリーズのスタッフが手掛ける最新作『DEN OF WOLVES』はSF×強盗もの! プレスツアーで判明した概要をリポート
『PAYDAY』シリーズのスタッフが手掛ける最新作『DEN OF WOLVES』はSF×強盗もの! プレスツアーで判明した概要をリポート
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企業“オクスフォードマシンラーニング”。機械学習を使った事業を手掛けているのだろうか? ロゴも作り込まれていて、実在する企業と勘違いしてしまいそうだ。

プレイヤーは犯罪起業家として強盗を行う

 プレイヤーは犯罪起業家として、ミッドウェイの企業で盗みを働くことになる。『PAYDAY』シリーズも強盗ものだったが、SF×強盗はまだまだ未発展なジャンルということもあり、本作ではそれを発展させ、強盗ジャンルの可能性を広げていきたいという想いが強いようだ。

 ストーリー性も強く、ほかのプレイヤーといっしょに遊びながらでも物語を楽しめるように意識して作られている。開発陣いわく、「友だちと遊んでいたら自然と物語に引き込まれるような内容にしている」とのこと。さらにストーリー分岐も用意されており、プレイヤーごとに違った展開が楽しめるのも大きなポイントになっている。個人的には最新技術で表現されるイベントムービーも気になるところだ。

『PAYDAY』シリーズのスタッフが手掛ける最新作『DEN OF WOLVES』はSF×強盗もの! プレスツアーで判明した概要をリポート
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アクションとリリース情報について

 本作のアクションは戦闘とステルスが行き来するダイナミックな作りになっている。『PAYDAY』シリーズでは発見されたら戦闘状態が解除されることはないが、本作ではその部分の切り換えがあり、プレイヤーは状況に応じて戦闘とステルスの選択が可能になる。またプレイヤーどうしの絆を深めるようなゲームデザインも意識しており、本作独自の協力要素があるのかもしれない。

 気になる発売時期についてはまだ開発途中なので明言できないとのこと。まずはSteamでのアーリーアクセスを予定しており、ゆくゆくは家庭用ゲーム機での展開も検討しているようだ。課金要素もあるが、キャラクターの見た目を変えるスキンなど、ゲーム性に影響を与えない内容を予定している。またミッドウェイのエリアを拡張するダウンロードコンテンツの存在も明かされた。

『PAYDAY』シリーズのスタッフが手掛ける最新作『DEN OF WOLVES』はSF×強盗もの! プレスツアーで判明した概要をリポート
『PAYDAY』シリーズのスタッフが手掛ける最新作『DEN OF WOLVES』はSF×強盗もの! プレスツアーで判明した概要をリポート

開発者インタビュー「SFを取り入れた新たな形の強盗ものをやりたかった」

 本イベントでは、10 Chambersのナラティブ、オーディオディレクターのサイモン・ヴィクルンド氏と、コミュニケーションディレクターであるロビン・ビョーケル氏に話を聞くことができた。まだ情報解禁されたばかりのため、全体的なコンセプトなど、限定的な質問のみとなるが、最後にその模様をお届けする。

『PAYDAY』シリーズのスタッフが手掛ける最新作『DEN OF WOLVES』はSF×強盗もの! プレスツアーで判明した概要をリポート

サイモン・ヴィクルンド氏(写真・右)

10 Chambers ナラティブ、オーディオディレクター

ロビン・ビョーケル氏(写真・左)

10 Chambers コミュニケーションディレクター

――『PAYDAY』シリーズも、本作も、強盗がテーマですよね。強盗というテーマにこだわるの理由を教えてください。

サイモン強盗を題材にした協力プレイゲームがまだまだ少なく、まだまだポテンシャルを広げていけるジャンルだと思い、本作も強盗をテーマにしました。さらに強盗というテーマにサイエンス・フィクションという要素を入れることで、もっと自由度の高いゲームにできるのではないかと思っています。ちなみに『PAYDAY』シリーズも本作も、『ヒート』という犯罪アクション映画にインスピレーションを受けています。

――『DEN OF WOLVES』というタイトルの意味を教えてください。

※DEN OF WOLVESは狼の巣という意味。

サイモン本作は企業どうしの醜い争いがテーマになっていて、その容赦ないドッグファイトのような戦いを比喩表現するために『DEN OF WOLVES』というタイトルを付けました。

――本作のプレイヤーは犯罪起業家としてチームのボスになるとのことですが、ほかのプレイヤーと協力する場合は、同じチームなのか、それとも別のチームのボスどうしで協力するのか、どちらでしょうか?

サイモンほかのプレイヤーも同じチームのクルーとして描かれています。ですので、別のチームどうしでのリソースマネジメントなどの要素はありません。

――『PAYDAY』シリーズのアクション・ステルスとはどのように差別化されているのでしょうか?

サイモン『PAYDAY』シリーズは敵に見つかった場合、ステルスには戻れず銃撃戦(ラウド)一辺倒です。しかし『DEN OF WOLVES』は敵との銃撃とステルスを行ったり来たりできるようになっており、プレイスタイルを自分でコントロールできるのが、大きな特徴です。

――本作のサウンドの魅力を教えてください。

サイモン今回はビーツの激しいSFチックな音楽にしようと思っています。じつは『メタルギア ライジング リベンジェンス』の音楽を手掛けたジェイミー・クリストファーソン氏も本作の制作に参加していて、これから彼と打ち合わせを進めながら、本作らしいSFチックな楽曲を作っていく予定です。また、将来東京をモチーフにした新エリアを追加するときは、日本のコンポーザーの方や声優さんといっしょにコンテンツを作っていきたいと考えています。

『PAYDAY』シリーズのスタッフが手掛ける最新作『DEN OF WOLVES』はSF×強盗もの! プレスツアーで判明した概要をリポート

――『GTFO』はコアファン向けでしたが、本作はより広いユーザー層に向けた内容になっているのでしょうか?

ロビン『GTFO』よりもカジュアルな内容を目指しています。社内にはアクションゲームが好きな女性社員が多いので、そういった方たちの意見を取り入れつつ、幅広い層のプレイヤーが楽しめるゲームにしたいです。また自分たちがプレイして楽しいゲームを作るという部分も大事にしています。

――本作ではさまざまな景色が広がるフィールドを自由に探索することはできるのでしょうか?

サイモン各地区を行ったり来たりといったプレイはできません。ミッションやストーリーごとに
各地区に行ってプレイするという遊びになります。

――『PAYDAY』シリーズではお金、武器、宝石などが強盗対象でしたが、本作ではどういったものを盗むことになるのでしょうか?

サイモン本作のSF部分は『インセプション』、『マトリックス』、『攻殻機動隊』などからすごくアイデアを得ています。ですので、『PAYDAY』シリーズとは違った近未来の世界だからこそ手に入れられる、記憶やデータなどを盗めるようにしようかなと考えています。

『PAYDAY』シリーズのスタッフが手掛ける最新作『DEN OF WOLVES』はSF×強盗もの! プレスツアーで判明した概要をリポート