『アークナイツ:エンドフィールド』(以下、『エンドフィールド』)の中毒性が高すぎる。アークナイツの荒廃した世界を期待して遊んだら、工場自動化にハマってしまった……。

 ゲームに熱中し過ぎて、時計の針が大きく進んでいたなんて経験はあるだろうか。大人になってからは仕事もあり区切りをつけて遊ぶことが多くなったが、筆者が子どもの頃にはよく経験したものだ。

 そんな懐かしい経験を『エンドフィールド』で久しぶりに味わった。完全に寝不足である。

 2024年1月12日~21日にテクニカルテストが実施された本作。童心に帰り、思い切り時間を忘れてしまった理由を世界観・建築・戦闘の3つにわけて語っていきたい。

 なお、本テストでは英語版になっているが、クローズドβテスト(CBT)およびリリースの際には日本語にも対応する。

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美しい終末世界。迫る危機に目覚める主人公

 『エンドフィールド』はHypergryphが贈る3Dリアルタイム戦略RPG。対応機種はプレイステーション5(PS5)、PC、iOS/Androidだ。Hypergryphといえば、スマホ向けに配信されているタワーディフェンスゲーム『アークナイツ』の開発会社。タイトルにもあるように、本作はその世界観を踏襲している。

 舞台は開拓者により何世代にもわたってテラフォーミングされた惑星“タロII”。それでも環境は劣悪で、人々は謎の侵蝕災害や怪物といった脅威に晒されながら生きている。

『アークナイツ:エンドフィールド』テクニカルテストレビュー。終末世界で機械によるクラフト自動化を目指したら時間が超スピードで溶けていった
『アークナイツ:エンドフィールド』テクニカルテストレビュー。終末世界で機械によるクラフト自動化を目指したら時間が超スピードで溶けていった

 そんな“タロII”で技術の提供や問題を解決しているのが“エンドフィールド”と呼ばれる組織と主人公である管理人だ。

 管理人はエンドフィールド最後の切り札、言わば救世主的な存在として基本的にコールドスリープ(正確に言うと特殊なカプセルで睡眠)しており、星に危機が迫ると目覚める。スタート時に呼び覚まされたということは、切り札を使用しなくてはいけないほどの緊急事態が発生したということになる。

『アークナイツ:エンドフィールド』テクニカルテストレビュー。終末世界で機械によるクラフト自動化を目指したら時間が超スピードで溶けていった
管理人は男女から選択できる。今回のテストでは女性しか選べなかったが、筆者はショートヘアー好きなので大満足。
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ゲーム中ではつねにバイザーを付け目を隠している。何か意味があるのだろうか。

 公式Youtubeチャンネルでは“タロII”と主人公に関する特別PVが公開されているので、気になる方はこちらを見てほしい。

『アークナイツ:エンドフィールド』特別PV「タロⅡ:目覚め」

 さっそく“タロII”とはどんな惑星なのか見ていこう。冒頭のムービーは、SF映画のような未知なる星へのワクワクと、いったいこれから何が起こるんだというハラハラで臨場感たっぷり。

『アークナイツ:エンドフィールド』テクニカルテストレビュー。終末世界で機械によるクラフト自動化を目指したら時間が超スピードで溶けていった
『アークナイツ:エンドフィールド』テクニカルテストレビュー。終末世界で機械によるクラフト自動化を目指したら時間が超スピードで溶けていった

 今度はゲーム画面を眺めてみる。「美しい……」と、思わず言葉が漏れ出てしまいそうなほどの荒廃した大地が広がっていた。人の手によって作られたものが、壊され朽ちていき自然へ還ろうとする。そこに美を感じるのだ。

『アークナイツ:エンドフィールド』テクニカルテストレビュー。終末世界で機械によるクラフト自動化を目指したら時間が超スピードで溶けていった
『アークナイツ:エンドフィールド』テクニカルテストレビュー。終末世界で機械によるクラフト自動化を目指したら時間が超スピードで溶けていった
PC版でプレイ。白く靄がかかった空気感や荒れた土地の描写などリアリティを感じさせる。

 大量の墓、巨大な剣と硬貨、神の像、謎の塔など、いろいろと意味深なオブジェクトが目に入る。説明がないからこそ考察の余地があり、この世界へと引き込まれていく。

『アークナイツ:エンドフィールド』テクニカルテストレビュー。終末世界で機械によるクラフト自動化を目指したら時間が超スピードで溶けていった
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『アークナイツ:エンドフィールド』テクニカルテストレビュー。終末世界で機械によるクラフト自動化を目指したら時間が超スピードで溶けていった
『アークナイツ:エンドフィールド』テクニカルテストレビュー。終末世界で機械によるクラフト自動化を目指したら時間が超スピードで溶けていった

 荒れた大地にSF感満載の施設、この落差がたまらない。心を躍らせ、儚さも感じられる光景がマップのさまざまな場所で堪能する。

 なお、マップはエリア切り換え式。ひとつのエリアが広く謎解きや収集要素もあるため、探索するだけでも時間があっという間に過ぎていく。

 また、高いところから落下してもダメージを受けないため、ストレスなく移動できるのもありがたい。

『アークナイツ:エンドフィールド』テクニカルテストレビュー。終末世界で機械によるクラフト自動化を目指したら時間が超スピードで溶けていった
『アークナイツ:エンドフィールド』テクニカルテストレビュー。終末世界で機械によるクラフト自動化を目指したら時間が超スピードで溶けていった

 ここで、筆者が心奪われたスポットを3つピックアップして紹介しよう。どこを歩いていても魅力的だが、とくに高所からだと遠くまで見通せて気持ちがいい。

 ひとつ目は工業エリア。まさに最初に話した未来感と自然の温度差を感じさせる場所だ。ここにたどり着くにはある程度の謎を解く必要があるものの、それはメインストーリーとは無関係なので、すぐにこの眺めを堪能できる。

『アークナイツ:エンドフィールド』テクニカルテストレビュー。終末世界で機械によるクラフト自動化を目指したら時間が超スピードで溶けていった

 ふたつ目は山に建つ施設の屋上。だいぶ高く、山々を見渡す景色は何とも壮観だ。中央には超巨大な鉱物が形成されており、初めて見たときは口をポカーンとあけて見入ってしまった。

『アークナイツ:エンドフィールド』テクニカルテストレビュー。終末世界で機械によるクラフト自動化を目指したら時間が超スピードで溶けていった

 3つ目は大きく陥没している広大なエリア。地表が青紫色の“何か”に侵蝕されており、この星に明らかな異常が起きていると認識させられる。あちこちから棘が生え、地面も現実では考えられない禍々しい質感に。身体へ悪影響を及ぼしそうなにおいがプンプンしている。

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自動でクラフトしてくれるMy工場を作ってみた

 本作はクラフト要素が楽しい。マップ上にあるアイテムを採集することで回復アイテムや装備などを作れるのだが、それだけでは終わらない。

『アークナイツ:エンドフィールド』テクニカルテストレビュー。終末世界で機械によるクラフト自動化を目指したら時間が超スピードで溶けていった

 ストーリーを進めると拠点が解放。機械を設置して、電気を通すことでアイテムを自動でクラフトする簡易工場を作れるようになる。設備を整えてこだわりの工場を作ろうとした結果、時間が瞬く間に溶けてしまった。

『アークナイツ:エンドフィールド』テクニカルテストレビュー。終末世界で機械によるクラフト自動化を目指したら時間が超スピードで溶けていった
自動化の様子。電力も無限ではなく限りがある。ときには稼働をセーブさせて節電するなど、効率を細かく考えるのもおもしろい。
『アークナイツ:エンドフィールド』テクニカルテストレビュー。終末世界で機械によるクラフト自動化を目指したら時間が超スピードで溶けていった
技術ツリー画面。クラフトで目的のアイテムを納品、解放していくことで、新たな機械を使用可能となる。

 登場する機械には大別して以下の2種類。

  • 素材を粉末状や繊維状にする機械
  • ふたつのアイテムを合成するといった加工機

 これらを組み合わせて、マップ探索では手に入らないアイテムを生成していく。ヒール量の多い回復アイテムもあるため、強くなるほどクラフトの重要性が増していく。

『アークナイツ:エンドフィールド』テクニカルテストレビュー。終末世界で機械によるクラフト自動化を目指したら時間が超スピードで溶けていった
『アークナイツ:エンドフィールド』テクニカルテストレビュー。終末世界で機械によるクラフト自動化を目指したら時間が超スピードで溶けていった

 ベルトコンベアを引けば、素材を機械から機械へ自動で運搬可能。1ラインずつつなげる作業は機械が多いほどたいへんだが、自分の考えた通りに動いたときの達成感はハンパない。

『アークナイツ:エンドフィールド』テクニカルテストレビュー。終末世界で機械によるクラフト自動化を目指したら時間が超スピードで溶けていった

 この作業が楽しいだけに、機械を置くためのエリアが狭いのは少し残念。大量の機械を同時に動かせたら楽しそうなので、自由に自由に配置変えできるモードはほしいところ。

 採掘機やジップラインなどは拠点外に設置でき、一気に効率化を図れるように。とくに歩きなら時間がかかるところを短縮できるジップラインは最高だ。

『アークナイツ:エンドフィールド』テクニカルテストレビュー。終末世界で機械によるクラフト自動化を目指したら時間が超スピードで溶けていった
『アークナイツ:エンドフィールド』テクニカルテストレビュー。終末世界で機械によるクラフト自動化を目指したら時間が超スピードで溶けていった

 なお、こういった設備にも電力は必要。その場合、拠点から目的地までの道中に電柱のような機械を設置して電気を引けばいい。いかにして最短距離で引けるのか考えるのも楽しいポイントだ。

『アークナイツ:エンドフィールド』テクニカルテストレビュー。終末世界で機械によるクラフト自動化を目指したら時間が超スピードで溶けていった

 クラフトの要素のいちばんの魅力は自分だけの施設を作れるところだろう。何を作るのか、どのようにベルトコンベアをつなげるのか、どこにジップラインを設置するのか。すべてに個性が出るはず。

 筆者はこういった建築&自動化を目指すゲームにあまり触れてこなかったので非常に新鮮だった。きっと『エンドフィールド』は自動化シミュレーションゲームなのだ。

 ひとまず目指した形にはできたが、機械の設置場所が悪かったりまだまだ試せていないことも多い。正直、まだやり足りないのでリリースされたら完璧な工場を作らなければ。それが筆者の使命である。

戦いはひとりじゃない。仲間もいる安心感

 一応書いておくが、『エンドフィールド』は自動化シミュレーションゲームではない。RPGだ。戦闘はリアルタイムで進行していく。パーティーは4人ひと組で、プレイヤーはそのうちのひとりを操作し、残りの3人は自動で戦ってくれる。操作キャラは自由に変更可能だ。

 味方はHP状況に関わらず突っ込んでいく。距離を取って回復したいときなど、おもに逃がすために操作を切り替えることが多かった。

『アークナイツ:エンドフィールド』テクニカルテストレビュー。終末世界で機械によるクラフト自動化を目指したら時間が超スピードで溶けていった
編成画面。各キャラクターのポーズにも個性が出ている。
『アークナイツ:エンドフィールド』テクニカルテストレビュー。終末世界で機械によるクラフト自動化を目指したら時間が超スピードで溶けていった

 攻撃方法は通常攻撃とスキル、必殺技とシンプル。なお、回避がないので敵の位置や攻撃を意識して動く必要があった。とくに狭いところで戦うと袋叩きにされがち。

 どのように立ち回れば被害を最小限に抑えられるのか。そういった戦略性が生まれるため、戦うほどに成長を感じられる。最初は苦手だったのに、徐々に動きが洗練されていき、簡単に倒せるようになったときの喜びはひとしおだ。

『アークナイツ:エンドフィールド』テクニカルテストレビュー。終末世界で機械によるクラフト自動化を目指したら時間が超スピードで溶けていった
赤い円が敵の攻撃範囲。離れないと大ダメージを受けてしまうことに。味方は自動で逃げてくれるため、自分の安全第一で行動する。

 敵の攻撃に対してのカウンターとして、スキルが有効だ。決まると怯ませひるませられるので、一方的に攻撃ができて爽快。

 また、スキルと必殺技では発動すると時の流れがゆっくりに。つねに戦況が変わるようなゲームが苦手な方でも、確実に敵を狙えうことができるのもうれしいポイントと言える。

『アークナイツ:エンドフィールド』テクニカルテストレビュー。終末世界で機械によるクラフト自動化を目指したら時間が超スピードで溶けていった
白いエリアが攻撃の当たる範囲。キャラクターによって範囲や効果内容はさまざまだ。

 スキルを一定回数ヒットさせると必殺技が使用可能。発動演出は迫力があってカッコよく、何よりも演出時間が短いために戦闘のテンポ感が損なわれないのが非常にいい。

 とくにお世話になったのは、主人公と同じくエンドフィールドに所属するフィエル。全体回復してくれるので、戦闘がより安定した。

『アークナイツ:エンドフィールド』テクニカルテストレビュー。終末世界で機械によるクラフト自動化を目指したら時間が超スピードで溶けていった
『アークナイツ:エンドフィールド』テクニカルテストレビュー。終末世界で機械によるクラフト自動化を目指したら時間が超スピードで溶けていった

 早くリリース版を遊んで世界観にどっぷり浸りたい、日本語版でストーリーをちゃんと楽しみたい! 『アークナイツ』にあまり詳しくないので、最初は不安もあったが知識の有無は一切関係なく、探索・クラフト・戦闘を楽しむことができた。

 クラフト要素にまさか自分がドハマリするとは思わなかった。いままで苦手だと思っていたので、自身にとって新たな発見だ。

 『アークナイツ』を楽しむドクターはもちろん、退廃した世界が好きな方、建築要素が好きな方には刺さること間違いなし。ぜひリリースされた際に思い切り遊んでほしい。新たな『アークナイツ』を体験できるはず。

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