特別な能力を持つ異端審問官(インクイジター)のモーディマーとなり、街で巻き起こる事件の解決を目指す、断罪アドベンチャー『ジ・インクイジター』。ポーランドの作家、ヤチェク・ピエカラ氏の人気小説『I, the Inquisitor』をベースに書き下ろされたオリジナルストーリーが展開される本作が、2024年2月8日にカリプソメディアより発売された。

 本作を一足先にプレイさせていただいたが、相手を拷問器具にかけた状態で選択肢を選んでいるときの体験が、あまりにも素晴らしいものだった。なので、“異端審問官”という職業にご興味のある方のためにも、その他の魅惑的な要素とともに、“ゆっくり、しっかり”ご紹介していきたい。

【発売記念】異端審問官が主役の断罪アドベンチャー『ジ・インクイジター』レビュー。異端審問の“拷問・尋問”を体験! そして中世の歴史表現にうっとり
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※本記事はカリプソメディアの提供でお届けしています。

異端審問官とは

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 そもそも異端審問官とは、実際に中世ヨーロッパのキリスト教会で活動していた特殊捜査官にして裁判官を兼ねたような職業。

 その名の通り、教会の思想に反する“異端”を探して捕らえ、裁くために大きな権力を与えられていた。とくに有名なのは“異端”の容疑者を尋問する際に、さまざまな理不尽かつ残酷な“拷問”を行い自白を強要した点。

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 1100年代から始まった異端審問官による拷問を用いた異端者狩りは、その後1500年代ごろになると、悪名高き“魔女狩り”で知られる“魔女裁判”へと受け継がれていった。

 罪もない市民が“魔女”として告発され、拷問の果てに処刑されて何万人もの犠牲者を出した恐るべき尋問であり、当時の異端審問官はまさに死と暴力の象徴として畏れられた。

(ちなみに、性別は関係なくあらゆる人が“魔女”として“悪魔”と契約したとして裁かれた)

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異端審問官になろう

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 『ジ・インクイジター』は、そんな“異端審問官”になれる非常に稀有なアドベンチャーゲーム。ミステリーでは犯人を探すが、本作で探すのは神に反する“異端者”となる。

 主人公は、まさに異端審問官。あなたは大審問官である“モーディマー・マダーディン”となって、“異端者”の捜査を行っていく。

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 物語の舞台は“キリストは磔刑で処刑されずに復讐者となった”という苛烈な世界観を描くポーランドの同名小説を原作とした、架空の中世ヨーロッパの都市ケーニヒシュタイン。

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本作の教会の十字架は、イエスが壊したために歪んだシンボルの意匠に。

 任務は、この街に身を潜める“異端”である“ヴァンパイア”を見つけ出し、神の裁きを与えること。

 この街は、開発陣の並々ならぬ思いを感じさせられるほど、東欧的な“中世ヨーロッパ”世界を現出させる舞台装置として丹精込めて作られていた。

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異端審問官として街を歩く

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 中央には大聖堂や伯爵夫人の豪奢な邸宅があり、市が立つ広場に雑然とした住宅街、活気ある港、そして墓場や娼館など……そこに暮らす民衆の様子から、風景や建築などのすべてが中世らしい陰鬱な美しさで魅惑的に描かれている。

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 史実でも、一説によれば“魔女裁判”が横行した背景には“黒死病”こと疫病ペストが蔓延し、民衆は常に隣り合わせだった死の恐怖の原因を“魔女”に転嫁したかった不安感があったという。

 実際に当時の中世では『新約聖書』の世界の終わりを予言した“ヨハネの黙示録”や“死の舞踏”などが民間に大いに流布された時期でもあるが、ケーニヒシュタインの街では、こうした中世の人々の“空気感”がジオラマのように表現されている。

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 そういった街の表現の中でも、“ヨハネの黙示録”で語られる終末の到来の予兆である“黙示録の四騎士”のような暗雲に人々が怯える姿などは、特筆すべきものだった。

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マップの代わりに“案内看板”を見ながら目的地を目指す感覚も新鮮。到着したばかりで慣れない街も、調査が進むと次第に土地勘が得られていくのがおもしろい。

 ちなみにファストトラベルも、特定の通路の入口と出口の両方を見つけることで両地点間で可能になる。こうしたポイントがいくつかあり、探していくスタイルなので、街の距離感のリアリティや街歩き体験は損なわれない。

 モーディマーこと大審問官であるあなたには、そんな街で捜査を進めるために教会から絶大な権力を与えられている。

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 犯人探しもののアドベンチャーゲームで、刑事や探偵として関係者に聞き込みをしたことがあるかもしれない。

 だが『ジ・インクイジター』では、市民や関係者への聞き込み捜査では、多くの人がへりくだってすんなりと情報を提供してくれるところがユニークだ。無論、異端審問官への畏怖ゆえなのだが。

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任務となるメインストーリーの途中には、関わるかどうか選べるさまざまな街中の事件やコレクションアイテム探しなども楽しめる。
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 集めた情報はモーディマーがかなり細かく手帳に記録していく。異端審問官としてきっちり“仕事”をこなしていくプレイフィールも、本作ならではの異端審問官体験にリアリティを与える、なんとも言えないうれしさが感じられる。

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視点を変えて遺体を隅々まで調査。手がかりや証拠を捜す。

 また、街に潜む異端の捜査とは、まさに雲を掴むかのようだが、ゲームシステムは非常に簡潔。“祈る”ことで、調査可能なポイントやつぎに向かうべき場所が示されるので迷うことはない。

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 まさにミステリーもののアドベンチャー小説を、立体化したかのようで、ページをめくる代わりにモーディマーを3D空間の街で自由に移動させながら、物語展開を追って体験していく。

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 ときには、剣戟で敵を斬り伏せるアクションシーンで大立ち回りを演じることも。

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 また、イベントシーンでは場面に応じてボタンを押すQTEイベントも発生(オプションで入力時間の余裕を調整できるのがうれしい)。

だんだんクセになるステルス

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 さらにモーディマーは祈祷によって、現実と対をなす”非=世界<アンワールド>”に侵入できる特殊な能力をもっている。

 ここは、“穢れ”が徘徊する人々の罪の意識の世界であり、点在する真実の記憶を集めることで、現実では知り得ない情報を得られる。

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 “非=世界”でのゲームシステムは、サーチライトのような視線に捉えられると、即死する光を放ってくる邪悪な“穢れ”や、影のような敵からうまく隠れ、ときには闘いながら、5つの証拠(記憶の断片)を集めていくことになる。

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 このステルスプレイでは、物語展開に合わせて邪魔をするギミックと、プレイヤーの能力がだんだん増えていく。

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 とくに中盤からは、“黙示録の四騎士”が出現し、行動をじわじわと制限されていくことに。

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騎士たちは第一の騎士は弓を降らせ、第二の騎士は剣で道を塞ぐなど、『ヨハネの黙示録』6章の記述にちなんだ得物で道を阻む。

 しかしモーディマーも“闇を祓う”、“瞬間移動する”など、“祈り”のゲージを消費して発動できる光のアビリティを得ていく。これを組み合わせて非=世界を探索して証拠(記憶の断片)を奪取していくのだが、次第にクセになるようなおもしろさが絶妙。

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拷問と選択肢

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 神の意志を胸に、異端を許さないあなたの任務は揺るぎない。だが、『ジ・インクイジター』でもっとも揺らぐのは、多様な人々のドラマを前にした“選択肢”を選ぶときの気持ち。

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 幾度となく迫られる選択肢によって、あなたは傲慢極まりない異端審問官にも、人の心を汲む異端審問官にもなれる。

 これこそが異端審問官としてふるまう本作だけが描き出せる、何にも代え難い魅力にほかならない。

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QTEでとっさの判断で選ばなくてはならない選択肢も。

 そうした選択肢を吟味する魅力の中でも、とくに蠱惑的なのは、やはり異端審問官の代名詞ともいうべき禁忌の“拷問”。

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“嘘ではないだろうな?”

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 ……と、拷問器具に据えた相手を前にあなたが選ぶ選択肢は、中世ヨーロッパで異端審問官が容疑者に投げかけた質問そのものではあるまいか。

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 異端審問官を主役に据えた作品だからこそ、プレイヤーにもたらされる、このサディスティックな瞬間はぜひコントローラーを手にして体感してもらいたいもの。

 また、前述のように『ジ・インクイジター』ではファストトラベルやマップが制限されているので、街歩き感覚にリアリティがある。

 そのためか、地下にある拷問室で拷問をしてから地上に出てきたとき、ちょうど明け方だっただことも相まってか、強烈な“仕事終わり感”が去来したほどだった。おお、これが異端審問官体験なのか。

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中世よ蘇れ

 そんな本作は『トロピコ』シリーズでも知られるカリプソメディアがパブリッシャーを担当し、新進気鋭のスタジオThe Dustが初めて開発を手掛けた作品。

 発売を前にオンラインで開催されたプレビューイベントでは、The DustのマーケティングマネージャーのPiotr Siemaszko(ピヨトル・シマーズゴ)氏と、同じくQAスペシャリスト兼、サウンドデザイナーのKonrad Giedrys(コンラッド・ゲドリス)氏がプレイを披露してくださった。

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 以下のように、メディアからのQ&Aにもひとつずつ丁寧に応えてくれた。

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QAスペシャリスト兼、サウンドデザイナーのKonrad Giedrys(コンラッド・ゲドリス)氏
マーケティングマネージャーのPiotr Siemaszko(ピヨトル・シマーズゴ)氏

Q. 人体欠損描写がありましたが、日本版での規制はありますか?

A. PS5版ではCEROレーティング“Z”のため、一部のゲーム内表現を変更しております。日本国内向けに販売されるPS5版以外のプラットフォームのレーティングは“IARC 18+”となり、海外版と差異はございません。PS5版の海外版とのゲーム内表現の差異は、以下の通りです。人体の分離欠損表現の修正と、性的表現の一部変更や削除。

Q. このゲームではキリスト教のテーマが取り扱われていますが、宗教的なテーマをゲームに取り入れる際の考慮すべき点や苦労した点、課題などはありましたか?

A. とくに課題といったことはありませんでしたが、バランスを取るということが重要と考えました。もちろんリスクがあるであろうということや、宗教史を描くということが議論を呼ぶということは分かっていましたが、それはそれとして考え、課題というほどではありませんでした。

Q. 非=世界のイメージは キリスト教カトリックの辺獄のようなものでしょうか?

A. 場所としてはまったく違う場所と考えてほしいと思います。“人の罪を糧にしている場所”と考えてもらうとよいかもしれません。辺獄と同じようには見えますが、ものとしては違います。

Q. 今回のプレイ中の(非=世界での)モーディマーの衣装は特別なものですか?

A. モーディマーが非=世界に入ったことがわかりやすいように違う衣装にしています。区別する意味での違いで、特別なものではありません。

Q. モーディマーが異端審問で拷問を行う場面をプレイすることはありますか?

A. ネタバレはしたくないのであまり言えませんが、ゲームの重要なアプローチとしてはそういう部分がありますが、(分岐があるので)プレイヤーがどうプレイするかによって変わってきます。

Q. “異端審問官”を主役に据えたことで、本作ならではの魅力が生まれていると思います。開発のみなさんは、どんなところにその魅力を感じていらっしゃいますでしょうか?

A. 一番魅力があると思うのは異端審問官としてプレイできるところだと思います。モラルを守るのか、モラルに欠けた行動をするのか、モーディマーをいいようにも悪いようにも、どんなようにも作り込んでいけるところが魅力だと思います。

Q. 戦闘で、主人公モーディマーの体力ゲージのようなものがなかったように思えますが、モーディマーが弱っているか、いつ回復すればよいのかをどのように判断すればよいでしょうか?

A. 現実世界の戦闘においては、ダメージを負うと、画面の端の方から血しぶきのような表示が出てきて、どんどん濃く表示が広くなっていくので、それでダメージを把握することができます。※非=世界での戦闘においては、画面右下に表示される聖力がHPと同等となります。

Q. ゲーム内の選択肢によって、ストーリーの展開が大きく変化することはありますか?

A. どの選択肢も非常に大きな影響を与えます。会話だけでなくてもゲーム全体を通して、ストーリーに影響していきます。エンディングに影響していく大きな選択肢とその他の小さな影響を与える選択肢とがあります。

Q. ゲームをプレイさせていただいて、町並みやそこで暮らしている人々の作り込みがすごいと感じました。背景美術へのこだわりを教えてください。

A. 開発後半の数か月では、グラフィックの機能を盛り込んでアップデートしていったのでより綺麗なグラフィックになっていると思います。

Q.マップ全体を表示する地図的なシステムがないように思えたのですが、意図して入れなかったのでしょうか?

A. 街のいたるところに交通標識のようなものがあると思います。モーディマー自身は日誌をつけているので、地図を見るよりは、日誌を見て道しるべを辿るというほうにしたいと思いました。また、ファストトラベルの機能がありますが、これはすぐに使えるようになるわけではなく、トンネルの入り口を最低2ヵ所見つけなければ使えないようにしました。

Q. ゲーム中のキリスト教の象徴として“歪んだ十字架”が出てきますが、これには何か特別な意味が込められていますか?

A. はい、壊された十字架を意味しています。本作では、イエス=キリストが十字架を壊して死ななかったということを象徴しているものになります。

Q. The Dustはどのような人で構成されている会社でしょうか?

A. 非常に小さなチームです。みんながゲームを作ることが大好きで、多くの経験もありますし、素晴らしい人ばかりです。この数年『ジ・インクイジター』を作るためにがんばってきました。この『ジ・インクイジター』がこのチームで作った初めてのゲームとなります。


 かつて魔女裁判では、老若男女に関わらず告発が行われた哀しい歴史が横たわっている。

 それから奇しくも遥か後世に発売されることとなった、プレイヤーが異端審問官の擬似体験ができるアドベンチャー『ジ・インクイジター』も、THE DUSTのスタッフが小説を読むように物語を辿る作りで、老若男女問わず誰もが楽しめるゲームにしてくれたことは本当に幸せなことなのではないだろうか。

【発売記念】異端審問官が主役の断罪アドベンチャー『ジ・インクイジター』レビュー。異端審問の“拷問・尋問”を体験! そして中世の歴史表現にうっとり
モーディマーの特別な衣装やサウンドトラック、アートブックが収録された『ジ・インクイジター デラックスエディション』も発売。
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