2024年3月18日~22日(現地時間)、アメリカ・サンフランシスコ モスコーニセンターにて、GDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)2024が開催。

 このGDC 2024に合わせて、マイクロソフト主催による“ID@Xbox Previews@GDC 2024”が実施。ID@Xboxが注力するタイトルが数多く出展されたわけだが、会場を入ってすぐのところに、とても気になるソフトが展示されていた。『InKonbini: One Store, Many Stories』だ。

 “InKonbini”というからには、コンビニが舞台の作品なんだろうなあ……と思い、居合わせたクリエイターの方に話しかけてみると、「こんにちは」との日本語でのお返事が。クリエイターであるディマ・シェン氏はロシア出身の方で、2年前から日本に住んでいるという。そして驚くべきことに、本作開発のきっかけは『シェンムー』なのだそうだ。順を追ってお話しますと……。

『シェンムー』が大好きなロシア人のクリエイターが開発中の日本のコンビニをモチーフにしたゲーム『InKonbini: One Store, Many Stories』が気になる【GDC 2024】
ディマ・シェン氏。

 ディマ・シェン氏がドリームキャストで『シェンムー』をプレイしたのは小学生のころ。『シェンムー』のディテールにこだわっているところと、ひとつひとつのモノを手にとって眺められたり、そういったモノにもストーリーがあるところに心惹かれたという。いつしか、『シェンムー』のようなゲームを作りたいというのが、ディマ・シェン氏の夢になった。

 その後、ディマ・シェン氏は、ロシアのエカテリンブルクでゲームスタジオを立ち上げ、仲間たちとともに「リラックスできる小さなモバイルゲームを作った」という。

 先述の通り、ディマ・シェン氏が日本に来たのが2年前。『シェンムー』のようなゲームを作りたいという夢を実現するためにゲームスタジオを立ち上げ、取り組んでいるのが『InKonbini: One Store, Many Stories』となる。同作は、カザフスタンやポーランド、ギリシア、オランダなど、世界各国にいる合計8人のスタッフがリモートワークで作るインターナショナルなプロジェクトであるという。ちなみに、社名の永井興業は、『シェンムー』から取られている。

 ディマ・シェン氏のことはNHKで2023年2月に放送された『クローズアップ現代』で紹介されていたので、ご覧になった方も多いかもしれない。

『シェンムー』が大好きなロシア人のクリエイターが開発中の日本のコンビニをモチーフにしたゲーム『InKonbini: One Store, Many Stories』が気になる【GDC 2024】
試遊台はコンビニをイメージしたお菓子や飲み物、雑誌などがいっぱい。わざわざ日本から持ち込んだに違いない。

 なぜ、ディマ・シェン氏が『シェンムー』をきっかけにコンビニのゲームを作ることにしたのか。もともとロシアにはコンビニがなく『シェンムー』で初めて知って驚いたのが始まりだという。ことに『シェンムー』におけるコンビニの印象はとても強く、『シェンムー』の世界観からすると異彩を放つコンビニは、光吉猛修氏による音楽とも相まって、“やさしい場所”だと感じたそうだ。小さいころから楽しくていいところで、気持ちが上がる場所だという認識があったというコンビニを、ディマ・シェン氏はゲームの舞台として選んだのだ。

 『InKonbini: One Store, Many Stories』は、1990年代初頭の日本で、コンビニの店員として働くというシミュレーションゲーム。商品の品揃えを管理し、配達状況などを把握しながらお店を切り盛りしていく。

『シェンムー』が大好きなロシア人のクリエイターが開発中の日本のコンビニをモチーフにしたゲーム『InKonbini: One Store, Many Stories』が気になる【GDC 2024】

 テーマは「一期一会、人生について学ぶことです」と、ディマ・シェン氏。コンビニのお客さんにはそれぞれ悩みがあって、会話を交わしながら悩みを解消していくようだ。たとえば……雑誌社に務めている20歳の女性がいて、残業が多くてたいへんそう。コンビニに来てはお菓子などをしこたま買い、「体もつらいし、たいへん」だと主人公に愚痴をこぼす。そこで主人公が「もっとヘルシーなものを食べて、体に気をつけてがんばってくださいね」と励ますとお客さんの様子が変わり……ということになるようだ。

 「日々の生活に疲れている日本人を取り上げている感じですか?」と聞いてみると、「日本の仕事の文化に本作を捧げています」とのこと。本作のタイトルに“One Store, Many Stories”とある通り、1軒のコンビニで、お客さんたちによる複数の物語が紡がれるようだ。

『シェンムー』が大好きなロシア人のクリエイターが開発中の日本のコンビニをモチーフにしたゲーム『InKonbini: One Store, Many Stories』が気になる【GDC 2024】
本作はもちろん日本語に対応。試遊版では声優さんによる日本語ボイス(!)も実装されていた。ただし、ゲーム内の文字は漢字風ではあるものの実際の日本語ではない。このへんは改良されるのかも。

 『シェンムー』のようなゲームを作りたいと思った海外のクリエイターが作ったコンビニを舞台にしたゲーム、という何とも風変わりな 『InKonbini: One Store, Many Stories』は、2025年発売を目指して、マルチプラットフォーム向けに開発中。どのようなゲームになりますか……。

『シェンムー』が大好きなロシア人のクリエイターが開発中の日本のコンビニをモチーフにしたゲーム『InKonbini: One Store, Many Stories』が気になる【GDC 2024】
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