決してポジティブな意味で使われることは多くない“あとまわし”という言葉。

 けれど、“TOKYO INDIE GAMES SUMMIT 2024”(TIGS2024)に出展されていたインディーRPG『このバトルはあとでやります』では、それがタイトル、そしてゲームシステムの非常に大切な部分を担っていました。

『このバトルはあとでやります』でバトルを(夏休みの宿題でもないのに)“あとまわし”にする意味。ポップなビジュアルの奥に隠れた斬新さと爽快さ
かわいいキャラクターたちが散りばめられたブースに、思わず引き寄せられてしまいました。
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“あとまわし”にしたバトルに登場する敵を、こちらに都合よく入れ替えちゃおう

 『このバトルはあとでやります』は、悪霊退治の様子を世界に配信、収益を得る“エクソシスト・ストリーマー”として生計を立てる女の子たちを描くゲーム。講談社ゲームクリエイターズラボ作品として、『空の軌跡』シリーズなどにも携わったことがあるイラストレーター・デザイナーのうりも氏が開発しています。

 まず、タイトルを聞いたとき疑問に思ったのが「バトルをあとまわしにしてどんな意味があるんだろうか?」ということ。

 だって夏休みの宿題ならともかく、RPGのバトルは基本的に“楽しいもの”なはずなので、あとまわしにする動機が思い付かなかったんですよね。でも、本作にはちゃんとありました、“あとまわし”にする理由が。

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 なぜバトルを“あとまわし”にするのかというと、ストックしておいたバトル(最大5回)は、“敵のパーティーメンバーを自由に入れ替えられる”のです。

 本作のバトルには属性の概念があって、「同じ属性が弱点の敵をひとまとめにして、全体攻撃で一気に倒す!」といったことが可能。

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 加えて、“ガラクタ”、“帽子を被っている”のように共通点がある敵をひとまとめにすると“役”が完成することがあり、これによる恩恵を得られる場合もあるとのこと。“獲得経験値アップ”などの役は、ぜひとも狙っていきたいですよね。

 逆に、特定の敵同士を同じパーティーに入れることで大幅に強化される敵もいるとのこと。敵パーティーの総合的な強さはパーティー入れ替え画面で数値化されるので、これを目安に、強力すぎる組み合わせにならないように気を付けましょう。

 ちなみに、いろいろな敵を入れ替えていると、この数値が通常は300~500程度だったのがいきなり7000くらいになったこともあってビビりました。あのまま戦っていたらどうなっていたのだろう……?

勝ち続ければ視聴者が増加する後半のバトルは、スキルを連発するチャンス

 そんなこんなで、“あとまわし”を駆使して望む敵パーティーの組み合わせを作ったら、バトル開始。先ほど本作のバトルには“属性”の要素があると書きましたが、ここにもちょっと捻りが加えられています。

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バトルはターンベースで進行。一見、オーソドックスなJRPGらしいものに見えるが……?

 それぞれの敵の属性は単一のものではなく、3×3マスの菱形のパネルに描かれたアイコンで表現。弱点を突く攻撃をヒットさせれば、その属性を示すアイコンにヒビが入ります。

 仲間のパーティーメンバーで協力し合い、いずれか1ヵ所のパネルにヒビを入れる通常攻撃と弱点を突くスキルを組み合わせ、縦・横・斜めにヒビを並べ、ビンゴの成立を狙いましょう。

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画面左の敵に注目。縦のラインでビンゴが成立してパネル上にピンク色のエフェクトが発生している。

 ビンゴを成立させれば敵は“ブレイク状態”になり、しばらく行動不能に。バトルを有利に進められます。ブレイク状態の敵には通常時よりも大きなダメージが入るので、これを狙うのが基本戦術になりそうです。

 スキル使用時に消費するMPは、ゲーム開始時には0からスタート。ターンが経過するにつれ増えていくのですが、配信の視聴者数が増えると、増加量がアップする仕組み。より多くの視聴者がいれば、強力なスキルをバンバン放てるようになります。

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バトルの視聴者が増えると、画面に流れるコメントも増加する。

 このMPの仕組みもまた、バトルを“あとまわし”にするシステムを活かすことで有利に作用します。バトルを連続でうまく進行させていけば視聴者数はどんどん増加していくので、より難度の高いバトルは後半のほうに“あとまわし”にして、ここでスキルをガンガン使えるようにする――といった組み立てかたができるのです。

 ほかにも、仲間同士の連携攻撃でより多くのパネルを効率よく壊せる“チェインアタック”などもあり、バトルの奥深さには大いに期待ができそう。もちろん、キュートでポップなキャラクターたちの魅力もすばらしいものがあり、掛け合いも可愛らしかったので、このあたりへの期待を裏切られることもなさそうです。

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 『このバトルはあとでやります』は、ゲームシステムに独特の要素がいくつも入っていながら、すべてがカッチリと噛み合っている作りに、試行錯誤の楽しさが詰め込まれたゲームでした。

 発売日は2025年、対応プラットフォームはSteamを予定しているとのこと。プレイできる日を気長に待ちましょう。

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※ゲーム画面は動画よりキャプチャーしたものを使用。